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ひこうき雲 [ラヂオ]

今や大企業だけど、まだ町のお菓子屋さんだったころの手作りケーキが食べたいなァ~

そしてもう一度夢見るだろう 松任谷由実の最新アルバム
「And I Will Dream Again」を聴きながら、
そんなことを思いました。

そこで、デビューアルバムの「ひこうき雲」を引っ張り出し聴き比べてみました。


加藤和彦と歌うご機嫌なロックナンバーも悪くないですが、
こんなにゴージャスじゃなくてもいい。

「ひこうき雲」「雨の街を」「ヴェルヴェットイースター」「空と海の輝きに向けて」・・・・

昔のケーキに心を揺さぶられます。

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4月25日の朝日新聞の日曜版 Be on Sunday 「うたの旅人」に
この「ひこうき雲」についての特集記事がありました。

記事の前段は、アルバム「ひこうき雲」制作のサイドストーリー、

後段に、ユーミンを世に押し出した林美雄パックの不思議な質感、
垢ぬけていくユーミンの音楽に対する荒井由実ファンクラブ会員たちの複雑な思いなどが記されていました。

新しいアルバムの発売を機に書かれた記事、との穿った見方もできますが、
それを差し引いても大変niceな記事だと思いました。

私も、林さんのパックで初めて「べルベットイースター」を聴き、
頭の後ろをガーンと殴られたような衝撃を受けた口です。

音階が上下に跳ねる不思議なメロディー、
小倉エージさんが絵画的と表現する映像がパーッと頭に浮かんでくる詞、
高田渡、加川良など、過去のフォークソングとは全く違う世界観。

日本人でもこういう音楽が作れるのか、
希望みたいなものを感じましたね。


「旅立つ秋」が初めてオンエアされたのが、
74年8月30日、林さんのパックの最終回だった
という話はあとになって聴きました。

林さんの番組の前、金曜パックの野沢那智=ナッチャンが、
なんで終わるんだと怒っていたり、
番組終了のガッカリ感は、私も共有していました。

とはいうものの、

翌年75年6月、林さんのパックは水曜1部で復活。
私には、金曜2部時代のコアな空気が変わる、
裏にいた林さんが、玄関に出てくるような感覚がありました。

その年の冬、ユーミンは「あの日に帰りたい」が大ヒット。
日本中誰もが知る存在になっていきます。

林さんは80年までパックを続け、
番組終了時は、皮肉にも自分が引導を渡す役に回ったと聴いています。

ユーミンは、パックが終了した82年、「pearl pierce」を発表。
このころから、それまで充電していたエネルギーを
爆発させたかのように快進撃が始まります。
70年代の私小説を歌で綴っていた少女は、
80年代はJ-POPの女王に変身していました。


2002年、林さんが他界。
終了する番組を送る歌だったはずの「旅立つ秋」が、
林さんを「送る会」でユーミンが自ら歌い、
林さんの人生を送る歌になってしまったという話は、
ユーミンと林さんとの不思議な縁を感じさせるエピソードです。

5月1日の読売新聞夕刊、「yumi yoriな話」で

一度手を染めたかに見えても、自分が新しいと感じられたらOK
新しい過去を手に入れる」と表現している

とありましたが、対談相手の東京都知事も「照れ屋さん」と呼び
手玉に取ってしまう大物ぶりを見せられては

最新作「And I Will Dream Again」の
「新しい過去」も、あまり心に響いて来ないです。

やっぱり「ひこうき雲」の方が好きです。

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