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ひこうき雲 [ラヂオ]

今や大企業だけど、まだ町のお菓子屋さんだったころの手作りケーキが食べたいなァ~

そしてもう一度夢見るだろう 松任谷由実の最新アルバム
「And I Will Dream Again」を聴きながら、
そんなことを思いました。

そこで、デビューアルバムの「ひこうき雲」を引っ張り出し聴き比べてみました。


加藤和彦と歌うご機嫌なロックナンバーも悪くないですが、
こんなにゴージャスじゃなくてもいい。

「ひこうき雲」「雨の街を」「ヴェルヴェットイースター」「空と海の輝きに向けて」・・・・

昔のケーキに心を揺さぶられます。

2009050101.jpg



4月25日の朝日新聞の日曜版 Be on Sunday 「うたの旅人」に
この「ひこうき雲」についての特集記事がありました。

記事の前段は、アルバム「ひこうき雲」制作のサイドストーリー、

後段に、ユーミンを世に押し出した林美雄パックの不思議な質感、
垢ぬけていくユーミンの音楽に対する荒井由実ファンクラブ会員たちの複雑な思いなどが記されていました。

新しいアルバムの発売を機に書かれた記事、との穿った見方もできますが、
それを差し引いても大変niceな記事だと思いました。

私も、林さんのパックで初めて「べルベットイースター」を聴き、
頭の後ろをガーンと殴られたような衝撃を受けた口です。

音階が上下に跳ねる不思議なメロディー、
小倉エージさんが絵画的と表現する映像がパーッと頭に浮かんでくる詞、
高田渡、加川良など、過去のフォークソングとは全く違う世界観。

日本人でもこういう音楽が作れるのか、
希望みたいなものを感じましたね。


「旅立つ秋」が初めてオンエアされたのが、
74年8月30日、林さんのパックの最終回だった
という話はあとになって聴きました。

林さんの番組の前、金曜パックの野沢那智=ナッチャンが、
なんで終わるんだと怒っていたり、
番組終了のガッカリ感は、私も共有していました。

とはいうものの、

翌年75年6月、林さんのパックは水曜1部で復活。
私には、金曜2部時代のコアな空気が変わる、
裏にいた林さんが、玄関に出てくるような感覚がありました。

その年の冬、ユーミンは「あの日に帰りたい」が大ヒット。
日本中誰もが知る存在になっていきます。

林さんは80年までパックを続け、
番組終了時は、皮肉にも自分が引導を渡す役に回ったと聴いています。

ユーミンは、パックが終了した82年、「pearl pierce」を発表。
このころから、それまで充電していたエネルギーを
爆発させたかのように快進撃が始まります。
70年代の私小説を歌で綴っていた少女は、
80年代はJ-POPの女王に変身していました。


2002年、林さんが他界。
終了する番組を送る歌だったはずの「旅立つ秋」が、
林さんを「送る会」でユーミンが自ら歌い、
林さんの人生を送る歌になってしまったという話は、
ユーミンと林さんとの不思議な縁を感じさせるエピソードです。

5月1日の読売新聞夕刊、「yumi yoriな話」で

一度手を染めたかに見えても、自分が新しいと感じられたらOK
新しい過去を手に入れる」と表現している

とありましたが、対談相手の東京都知事も「照れ屋さん」と呼び
手玉に取ってしまう大物ぶりを見せられては

最新作「And I Will Dream Again」の
「新しい過去」も、あまり心に響いて来ないです。

やっぱり「ひこうき雲」の方が好きです。

2009050102.jpg


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tsukikumo

おはようございます。ちなみに前回のアンデルセン「ロンドン急行」のB面「サーフパーティ」は売れる直前のユーミンの作品だそうです。(一回も聴いたことないけど)そう聞くと急に聴きたくなるんじゃありませんか?(笑)
林さんはヤマトが大ブームのときのパロディ特番で「宇宙戦艦ミドリブタ」ぐらいしか思い出せません。それも番組に遊びに来た、まだ局アナだった久米さんが大はしゃぎでそれに食われて林さんの存在感が全く記憶にないのです。ゴメンナサイ。
by tsukikumo (2009-05-02 10:55) 

Cliff

☆tsukikumoさん、こんにちは

ユーミンの作品では、まだまだ渋いものがありますよ。
五十嵐夕紀の「6年たったら」
これはご記憶あるかもしれません。
他に
シモンズ「水の影」
萩尾みどり「大連慕情」、
曲は知っているが、
宮崎美子の「夕闇をひとり」とか、
突っ込みどころはまだまだありそうですね。(笑)

ユーミンを世に出した功労者が林さんだとしたら、
その林さんがパックに出るキッカケを作ったのは久米さん。
久米さんが病気で降板しなければ、
ユーミンもこれほどメジャーにならなかったかもしれませんね。
by Cliff (2009-05-02 11:36) 

shige

こんにちは.
私がパックのADになった時、林さんの2部は終了しており「歌うヘッドライト」になっていました。翌年、林さんが復帰した時、熱望して「キンヤパック」から移籍(?)させてもらいました。
 丁度、ユーミンが「コバルトアワー」を出す直前だったと思います。私も2ndまでは、よく聞いたものです。「あの日に帰りたい」がヒットしてからも、事あるごとに出演してもらっていました。林パックが「ビックリハウス大賞」を取った時には、林さんがチャーターしたマイクロバスでTBSから歌舞伎町のお店まで一緒に行き、ギターをバックに「旅立つ秋」を歌ってくれました。
 アーティストがJUMP UPする時には、今までのしがらみを取っ払いたいと思う時があるのだと思います。走り続けるのは、本当に大変だと思います。
アルバムが出る度に、聞きますが響いてきません。たまに、1stアルバムが聞きたくなることがあります。当時、竹下通りにあった輸入盤屋で松任谷正隆氏を見かけたことがありました。ネタをさがしていたのでしょうか?
 対談で、達郎が「自分は職人だ」と言ったら、ユーミンは「私はアーティストよ」と言ったという記事を読んだ記憶があります。
 ワンパターンと言われようが、方向性にブレのないニール・ヤングが大好きです。 
 取り留めのない乱文申し訳御座いません。
by shige (2009-05-02 22:31) 

酔いどれ天使

ここで伺って。。。be読みました、家に放置されておりました。
ちょっと文章があちこち「え、ちがう!」と思ったんですけどね。
「放送まで絶対聴かないでね」といわれていたので「僕も今日始めて聴きます」って言う話でしたね。あの放送の録音、持ってます。
林パックと呼ばないで「ミドリブタパック」と書いてほしかったなあ。

林さんって破天荒とか無頼を装っているようにきこえたけど。。。。ものすごく実直できちんとした人ですよね。

初期からのファンはたいてい「変わっちゃった」といいます。そうじゃなければファンの方がいつの間にか遠ざかるのでしょう。どこかで「停止」していれば懐メロになります。そうじゃなければ「変化」とか「成長」とか「進歩」になるのだと思います。お互いに停滞することは決してよいこととは思えません。ただファンは寂しくなるんでしょうね。親が成長する子どもの姿に寂しさを覚えるのと似ているかな。

by 酔いどれ天使 (2009-05-03 03:05) 

エルモ

話はそれますが、呉田軽穂という別名で松田聖子などに曲書いてますよね。赤いスイートピーとか、渚のバルコニーとか・・・
とても同じ人が作ったとは思えないんですよね~。すごい才能を持った人だと思います。^^
by エルモ (2009-05-03 07:00) 

kemmu-G

おはようございます、森の静寂を乱すソプラノサックス奏者(音出してるだけ?)kemmu-Gこと、けむけむです。

「ひこうき雲」 たしか・・・あの曲は、無くなった友人の事を歌ったものだったような・・・

TBS&ユーミンで思い出すのは、1990年にTBS宇宙プロジェクト『日本人初!宇宙へ』で、秋山豊寛宇宙特派員を乗せた宇宙船ソユーズをロシアのバイコヌール宇宙基地から打ち上げた時にテーマ曲として使っていた「SAVE OUR SHIP」ですね。
あの時、寝不足の解説者がエグイ!エロ会話したときには「おやじ~大丈夫かよ~(@_@;)」って大笑いしたり、秋山さんが帰還用ロケットに乗る時間ギリギリまでカメラを意識していて、結局押し込まれて間に合いましたが、見ているこちらが焦りましたよね~、確か10秒前ぐらいじゃなかったですか? 確かその時のビデオがある筈なんで探して見ます、でも映像がちゃんと映るかどうか・・(ーー;) 
by kemmu-G (2009-05-03 08:13) 

kemmu-G

すみません、訂正です
無くなった→亡くなった
です・・・(-_-;)
by kemmu-G (2009-05-03 08:17) 

Cliff

☆shigeさん、ありがとうごじます。

ユーミンが「14番目の月」から垢ぬけていったように、
林さんのパックも一部で復活してから、
2部のあの薄暗さがよかったのに・・・
と思った記憶があります。

よく古いファンが、
初期の方がピュアでよかった、昔の方が個性的だった・・
とかいう、あのパターンですけね。
自分の応援している人がメジャーになり、
自分との距離が広がってしまう寂しさから出る不満
とでもいったらいいでしょうか。

ユーミンも林さんのパックもそういう
コアな空気があったような気がします。

ユーミンの音楽は聴いていて心地いいです。
そういう意味で、新しいアルバムも、期待を裏切りません。

でも、おっしゃるように、「響いて来ない」
涙が出てくるような音楽ではありませんね。

小室哲哉が「技術者」と呼ばれたように、
音楽も技巧的になりすぎているようにおもいます。
年齢のせいかもしれませんが、
「職人」「アーティスト」なんて言葉にはこだわらず、
我々を感動させてほしいですよね。

It keeps me searching for a heart of gold、
and I'm getting old

ですよね。(笑)
by Cliff (2009-05-03 09:52) 

Cliff

☆酔いどれ天使さん

正直、約束事が出来ている仲間内じゃないと、
林さんのパックをミドリブタパックと、
呼びづらい感じはなきにしもあらずですね。(笑)

最近は、何となく林さんの存在感も、
必要以上に過大にされているような気もしてきています。

>初期からのファンはたいてい「変わっちゃった」といいます。

「距離感」の問題ですよね。親子も男女の間も一緒。
それぞれの距離感を変えなければいけないのに、
変えたくない方が淋しくなったり、不満を持ったりするんです。
タレントや歌手の場合は宿命ですね。

タレントの同級生がよく
「なんだあいつ、変わってしまったな」と怒りますが、
変わって当たり前なんですよね。

じゃなきゃ、本人はしんどくて仕方ないでしょう。^^
by Cliff (2009-05-03 10:08) 

Cliff

☆エルモさん

2003年に発売した、セルフカバーアルバム「FACES」の
リーフレットに、過去の作品リストが載っているんですが、
実に多彩です。

クルマで湘南を走るときはユーミンが定番みたいな
雰囲気がありましたね。
お世話になったオヤジもたくさんいるんじゃないでしょうかね。^^

by Cliff (2009-05-03 10:12) 

Cliff

☆kemmu-Gさん

そうですね。
「ひこうき雲」は、若くして亡くなった友人の事を歌った歌だと伝えられています。
私、一慶パックの「ともしび」を思い出すんですよね。

>「SAVE OUR SHIP」

このころは、あまりユーミンの音楽を積極的に聴いていなかったし、
記憶がないのですが、
なんか、大騒ぎしていたなという感じです。

生番組は、観ていてハラハラすることがありますね。
視聴者が気を使うことなんかないのですが、
私たちも、テレビについての余計な知識がついてしまっているんでしょうね。
オヤジの場合は、昔ナイター中継で、放送時間終了間際に、
画面のピッチャーに向かい
「早く投げろ!」と言ってしまたあのイライラ感が
トラウマのように残っているのかもしれませんね。^^


ということで、私も訂正します。

☆shigeさん、ありがとうごじます。

→ ありがとうございます。
失礼しました。
by Cliff (2009-05-03 10:25) 

kanican

こんばんは。
先日NHKの「SONGS」でユーミンが出ていたのを見ました。
あまり動くユーミンを見たことがなかったので(笑)、
思わず見入ってしまいました。
旦那さんの影響でクルマのイベントにも顔を出しているようで、
その気さくな人柄に、僕のなかでも好感度アップしています。(笑)
by kanican (2009-05-04 01:20) 

Cliff

☆kanicanさん、こんにちは

ユーミンの知的な世界は、
今のテレビの空気には合わないだろうし、
SONGSのような特別な番組じゃないと、
なかなかテレビでお目にかかる機会はないでしょうね。

今や大御所ですが、周りが変わっただけで、
本人は変わっていないのかもしれませんね。^^
by Cliff (2009-05-04 06:53) 

人間魚雷

「ひこうき雲」ってあややがカバーしてましたよね。
ユーミンとアイドルといえば石川ひとみの「まちぶせ」
が印象に残っています(三木聖子も歌ってました)
by 人間魚雷 (2009-05-05 23:05) 

Cliff

☆人間魚雷さん

あややの「ひこうき雲」もそうですが、後藤真希の「卒業写真」、矢口真里の「中央フリーウェイ」とか、ハロプロは何曲かユーミンのカヴァーしているようですね。でも、
あまり聴きたいとは思いませんなァ。
「まちぶせ」は三木聖子のデビュー曲でしたね。
当時お気に入りの「少しだけ片想い」がB面だったので、印象に残っています。
by Cliff (2009-05-06 03:24) 

人間魚雷

ユーミンとアイドルの続きですが、以前の記事にあった
アグネス・チャンの「白いくつ下は似合わない」もそうですね。
私の一押しは榊原郁恵の「イエ!イエ!お嬢さん」です。
呉田軽穂名で作曲だけですが、脳天気な曲ですよ^^
by 人間魚雷 (2009-05-13 19:43) 

Cliff

☆人間魚雷さん

「イエ!イエ!お嬢さん」は記憶に全くありませんでした。
改めて、聴いてみましたが、
これ、作曲者あてクイズをやったら、
ユーミンと出てこないかもしれませんね。
確かに、らしくないです。


by Cliff (2009-05-15 20:58) 

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